第8回杉並ヒーロー映画祭 世界へ羽ばたく、日本映画界のヒーローになれ

「世界へ羽ばたく、日本映画界のヒーローになれ」をコンセプトに運営

井村井村

「杉並ヒーロー映画祭」は2016年より開催されていますが、どのようなきっかけで始められたのでしょうか?

大学の時にゼミの授業で映画祭を開催したことがきっかけです。ゼミの教授はアメリカ人で、ゼミではアメリカ文化の研究をしており、その一環で映画祭を開催したのです。その映画祭を卒業後もゼミの授業と連動して続けていました。しかし教授が亡くなられて、その映画祭をどうしていこうかと仲間と話し合って、2016年にNPO法人COSMO FESTを設立し、「杉並ヒーロー映画祭」を始めることにしました。
ゼミと連動していた時は国際映画祭のテイストでしたが、今は国内の自主制作映画・インディーズのための映画祭として開催しています。

平中さん平中さん
井村井村

杉並区にこだわる理由はなんでしょうか?

杉並区にはライブハウスや演劇の芝居小屋はたくさんあるけれど、映画文化は少ないと感じたことが大きな理由です。まだまだのびしろがあると思ったので、杉並区を選びました。

平中さん平中さん
井村井村

「杉並ヒーロー映画祭」のコンセプトを教えてください。

ヒーローとはヒーローものの映画ではなく「世界へ羽ばたく、日本映画界のヒーローになれ」という意味です。
応募作品は15分~60分という、自主映画では一般的な長さの作品を募集しています。ジャンルはオールジャンルであり、アニメーションやドキュメンタリー作品も応募いただいています。

平中さん平中さん

ほかの映画祭では選ばれないような作品が大賞に選ばれることも

井村井村

応募規定には「熱い情熱を感じる作品、挑戦的な作品が私たちにとってのヒーロー映画です」とありますが、グランプリを決める審査基準を教えてください。

ほかの映画祭で選ばれないような作品が大賞に選ばれることも、よくあります。
大きな映画祭になればなるほど完成度が重要視されるのかもしれませんが、僕たちはそこについてはあまり執着せず、意気込みがある作品をどんどん紹介していきたいと考えています。

平中さん平中さん
井村井村

2022年度は大賞受賞作品がなかったそうですが、「該当作品ナシ」はよくあることですか?

いえ、僕たちにも初めてのことでした。
審査の流れとしては、応募作品が約100本あって、運営事務局がある程度絞り、それを審査員の方々に見ていただいて最終的にはNPO法人COSMO FESTと審査員の方々で話し合って決めています。ですが、2022年は議論が白熱し「今回は大賞を出さないことにしよう」ということになりました。
映画祭運営サイドとしては、やっぱり大賞を出したい気持ちはありますけど、2022年度は該当する作品がないという判断をしました。

平中さん平中さん
井村井村

「杉並ヒーロー映画祭」を運営するNPO法人COSMO FESTは、映画祭以外にどんな活動をしているのでしょうか?

活動内容のメインは映画祭ですが、コロナ前には地域密着型の映画上映をしていました。杉並区の子どもたちを集めて映画を上映して、監督と子どもがディスカッションしたり、質問をして答えたりする場をつくっていました。
あとは、自主映画をつくる監督に上映の機会を提供したい想いがあり、地域の方々に見ていただける小さな上映会を開催しています。

平中さん平中さん
井村井村

過去の大賞受賞者で現在活躍されている監督さんには、どんな方がいらっしゃいますか?

直近だと田中聡さんがいらっしゃいます。僕らの映画祭でも取り上げた『うまれる』が、今全国的に上映されていますが、この作品はすごく面白くて。杉並ヒーロー映画祭で受賞されているので、上映させていただきました。2023年1月にはNPO法人COSMO FESTの主催で田中監督の特集上映もやりました。『うまれる』は過激な内容も含まれているので、上映できる場所が限られると思います。
田中監督はもともとCMディレクターをされていた方なので、上映会では過去に制作されたCMも流しましたし、ご本人においでいただいてトークショーも行いました。

平中さん平中さん
井村井村

映画祭の運営は応募作品の選定だけでなく、宣伝や集客など、やることがたくさんあって大変ですよね。

そうですね。確かにいろいろと大変ですが、でも一番手間がかかるのはやっぱり応募作品を観ることなんです。今はだいたい100本くらいの応募があって、そのすべてに目を通すとなると相応の時間がかかります。それでも、応募作品を観ることは映画祭の肝ともいえる部分なので丁寧にしたいですね。

平中さん平中さん

自主映画業界について

井村井村

昨今の自主映画業界をどうご覧になっていますか?

ポイントは2つあると思うんですね。
1つはみなさん言っていることですが、「上映する場所がない・上映機会がない」という悩みがまずあります。これは映画祭を開催する立場としては、今後も上映機会を提供したいと思っています。「杉並ヒーロー映画祭」では大賞・観客賞がラピュタ阿佐ヶ谷での上映、シアターバッカス賞が高円寺シアターバッカスでの上映を予定しています。監督には、人の目に触れて初めてわかることがあると思うので、そういった機会はどんどん増やしていきたいと考えています。
あともう1つは「制作費」ですね。複数の映画祭で賞を取ったり、世間から注目されたりする作品を撮る監督さんでも、簡単に制作費が集まるわけではないんですね。さらに制作費としてお金が集まっても回収が難しいですし、回収できないから次回作が制作できないという負のスパイラルもあると思います。

平中さん平中さん
井村井村

自主映画業界をより良くするためにはどうしたらいいと思いますか?

すぐは良くはならないと思うんですね。そんな簡単なものではないので。自主映画を応援する人たちが、今やっていることをコツコツと何十年も続けるのが大事だと思っています。僕らも映画祭を続けることに意義があると感じていますから。
 何か大きな変化がひとつ起きても、積み上げていなければ、その変化自体に深みがないでしょうし、影響も小さくて、業界のど真ん中にいる人たちにとってはあまり意味がないのかなと感じます。
根本的な部分からジワジワ変わっていかないと文化としては根付かないと思っています。

平中さん平中さん
井村井村

「杉並ヒーロー映画祭」を今後どのように発展させていきたいですか?

杉並ヒーロー映画祭というと「これだよね」という独自のカラーを作って打ち出していければと思っています。見る人が「あの映画祭はちょっと変わっているよね。面白いよね」と感じてくれる映画祭になっていけばうれしいです。

平中さん平中さん

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