
アニメファンからの人気も高い吉祥寺アニメーション映画祭の第18回実行委員会の堀内雄次郎委員長に、アニメーション作品の魅力や映画祭にかける想いなどについてインタビュー

Profile
「吉祥寺アニメーション映画祭」
実行委員会委員長
堀内 雄次郎
1981年武蔵野市吉祥寺生まれ。吉祥寺好き・アニメ好きが高じて、2007年頃より吉祥寺アニメワンダーランド(吉祥寺アニメーション映画祭の前身)に企画運営スタッフとして参加。以後、同イベント実行委員長を経て、第18回吉祥寺アニメーション映画祭実行委員会委員長に就任。「みんなが笑顔になれるまち吉祥寺」を目指して日々奔走中。
吉祥寺は漫画家やアニメ制作プロダクションがひしめく街

今年で18回目を迎える「吉祥寺アニメーション映画祭」ですが、そもそも映画祭はどのような形で始まったのでしょうか。
吉祥寺は漫画家や作家、アニメ制作プロダクションなどが多く点在する街です。2005年、やはり武蔵野市在住の京都精華大学マンガプロデュース学科の教授をされていた編集家の竹熊健太郎さんが提唱され、この街からアニメ作品や映画を生み出せたら面白そうというのが、映画祭が始まったきっかけだと聞いています。

最初は「吉祥寺アニメワンダーランド」というイベントの一部門でしたが、年々数多くの素晴らしい作品が集まるようになり、映画祭で受賞された作家さんたちが活躍する場面も増えてきたので、第16回から映画祭単独で開催するようになりました。


吉祥寺アニメーション映画祭から世に出たアニメーション監督には、どんな方がいらっしゃいますか。
ストップモーション・アニメーションとして人気の高い『PUI PUI モルカー』の見里朝希監督や、『ポプテピピック』でアニメ界を震撼させた青木純監督などがいらっしゃいますね。その他にも、たとえばアニメ制作会社で作画を担当される方など、多くの方がアニメ業界の様々なところで活躍されています。


「いい作品は何でも評価する』が映画祭のポリシー

吉祥寺アニメーション映画祭の特色を教えてください。
通常のアニメーション映画祭の場合、一般受けするものや作画がきれいなものなどが受賞する傾向があると思います。でも私たちの映画祭では「いい作品は何でも評価する」ことが基本です。短編作品でも、一般の人伝わりにくいような芸術的な作品でも、いい作品はしっかり評価します。ギャグアニメ部門賞があるのも、世界の中で吉祥寺アニメーション映画祭だけかもしれません。

あとは、スタジオ4°Cさんなどアニメ制作会社さんに審査協力をお願いしていおり、作り手側の目線から作品を審査している点も特長だと思います。


ギャグアニメ部門の他にどのような部門があるのでしょうか。
応募部門としての設定はしていなくて、グランプリ・ギャグアニメ部門賞・ストップモーション部門賞という受賞枠を作っています。こちらが勝手に評価するので、制作者が全く意図していないのに、なぜかギャグアニメ部門賞を受賞するということもありえます(笑)。

企業賞とギャグアニメ部門賞のダブル受賞もありえますし、グランプリ該当作品なし、ということもあります。一切の忖度がないという意味では、公正・公平な審査をしていると思いますね。埋もれていた作品が吉祥寺アニメーション映画祭で日の目を見ることも十分にありえます。


審査員は全員アニメーションのプロフェッショナル

アニメ制作会社さん以外の審査員は、どのような方々なのでしょうか。
アニメーション史研究家の津堅信之さんや『チェブラーシカ』の中村誠監督など、アニメーションのプロフェッショナルの方々にお願いしています。一般企業が審査に加わらないという点においても、商業的価値というより、いかにクリエイティブかという点で作品の審査が行われています。


どのような方々がどういった作品を応募してくるのでしょうか。
応募者も応募作品も幅広いですね。学校に応募要項を配布していることもあり、学生さんからの応募も多いです。学校の卒業制作の作品とか。個人の方が1人で作られた作品もあれば、共同制作の作品もあります。

ジャンルとしては、最近ではストップモーション・アニメーションの作品が増えている気がします。中国・韓国の方やアヌシー国際アニメーション映画祭で優秀賞をとった方から応募があるなど、年々広がりを感じています。


今回の映画祭の見どころを教えてください
グランプリ審査を2月26日に武蔵野公会堂で行いますが、授賞式後に審査員の皆さんと受賞作品の講評セッションを企画しました。スペシャルゲストとして『機動戦士ガンダム』シリーズを手がけた安彦良和氏をお招きしており、これからの時代を担うクリエイターたちへの激励なども頂けるのではないかと思っています。ぜひ楽しみにしていてください。

目指すのは「吉祥寺“国際”アニメーション映画祭」


インディーズアニメ映画の現状をどのように思われますか。
YouTubeやTikTokの登場で、作品が日の目を見る機会が増えた一方で、あまりにも数が多すぎて、いい作品が埋もれてしまっているようにも感じます。アニメ=オタクといった見方もなくなり、制作者も作りやすい状況になったけれど、なかなか評価してもらえないのが現状です。正当な評価を受けられる仕組みが必要だし、その手助けができればと考えています。

日本で生まれた素晴らしい作品や豊かな才能が、海外に流出してしまうのはもったいない。日本の財産として、国がアニメ業界を積極的に支援してくれたらうれしいですね。


今後、吉祥寺アニメーション映画祭をどのように発展させていきたいですか。
埋もれている才能を見つけ出し、吉祥寺アニメーション独自の評価をしていきたいですね。クリエイターと企業のマッチングや吉祥寺という街からのバックアップなど、できることからやっていきたい。さらに素晴らしいアニメーション作品を世界中から集めて、ゆくゆくは国際的な映画祭にしていきたいですね。「吉祥寺“国際”アニメーション映画祭」を目指します!

第18回 吉祥寺アニメーション映画祭

1.応募資格・募集作品
・国籍、年齢、性別、個人・グループ(企業を含む)、プロ・アマ不問
・コマ・フレーム単位の創作によるアニメーション技法を表現の中核としている作品
※ コンピュータで制作した作品や、作品の全編ではなく一部にアニメーションを使用している作品も含む
・おおむね15秒以上15分以内の作品
2.審査員 / 団体 (予定)
・竹熊 健太郎(審査員長)
・津堅 信之
・青木 純
・中村 誠
・白石 慶子
・森本 晃司(ゲスト審査員)
・スタジオ 4°C
・コアミックス
・プロダクション I.G
・三鷹の森ジブリ美術館
※ 安彦 良和(スペシャルゲスト)
3.各賞
グランプリ : 1本 / 賞状およびトロフィー、副賞
※ 本年度より部門別制を廃止し、グランプリは作品を1本のみ選出
優秀賞 : 1本 / 賞状および副賞
ギャグアニメ部門賞 : 1本 / 賞状および副賞
ストップモーション部門賞 : 1本 / 賞状および副賞
特別賞 : 複数 / 賞状および副賞
企業賞 : 複数 / 賞状および副賞(協賛企業より提供)
4.映画祭日程
2月23日(木・祝)『未来少年コナン』特集
武蔵野公会堂 パープルホール
■ プログラムA 『未来少年コナン』セレクト上映
13:00 〜 上映開始
13:00 〜 第1話 〜 第3話
15:15 〜 トークショーセレクト
『未来少年コナン』(1978年) TVシリーズから
入場無料(予約制)
■ プログラムB 『未来少年コナン』トークショー
開場 17:30 開演 18:00
野中晋輔(スタジオジブリ 執行役員)
氷川竜介(明治大学大学院 国際日本学研究科特任教授)
入場無料(予約制)
武蔵野公会堂2F 会議室
13:00 〜 16:00 ワークショップ
■ フリッカ「タブレットでおどろき盤を作ろう!」
入場無料
2月24日(金)『雨を告げる漂流団地』のスペシャル上映 & トークショー
武蔵野公会堂 パープルホール
開場 18:00 開演 18:30
『雨を告げる漂流団地』(2022年 120分)
石田祐康(アニメーション監督)
津堅信之(アニメーション史研究家・吉祥寺アニメーション映画祭審査員)
入場料 : ¥1,000
2月25日(土)ストップモーション・アニメーション特集
武蔵野公会堂 パープルホール
■ プログラムA 開場 13:00 上映1回目 13:30 〜 上映2回目 14:00 〜
『PUI PUI モルカー』(2021年)
入場無料
■ プログラムB 上映開始 16:00
吉祥寺アニメーション映画祭ストップモーションアニメーション歴代受賞作品特集
『Blink in the Desert』(2021年 10分)
『COMET』(2020年 3分)
『ネギはからだにいい』(2019年 2分)
『I SEE YOU』(2019年 8分)
『マイリトルゴート』(2018年 10分)
『蘆屋家の末裔』(2018年 9分)
『花とラルバ』(2018年 8分)
『すみっこのこ』(2017年 4分)
『あたしだけをみて』(2016年 8分31秒)
入場無料
■ プログラムC 開演 17:45
中村誠監督 × 歴代受賞作家トーク+セレクション上映
『Louis』(2008年 4分)
『Lucia』(2007年 4分)
『プックラポッタと森の時間』(2021年 16分)
『感傷の沈殿』(2009年 6分)
『ナーニとナッタ』(2012年 6分)
ゲスト
中村誠(アニメーション監督・吉祥寺アニメーション映画祭審査員)
見里朝希(『マイリトルゴート』『PUI PUI モルカー』)
副島しのぶ(『Blink in the Desert』)
吉田ヂロウ(『蘆屋家の末裔』)
伊藤貴祥(『ネギはからだにいい』)
入場無料
2月26日(日)応募作品グランプリ審査並びに授与式
武蔵野公会堂 パープルホール
15:00 〜 ノミネート作品上映
16:50 〜 審査結果発表/表彰式
17:30ごろ 〜 講評・セッション
ゲスト : 安彦良和(漫画家)
入場無料
5.主催・後援・協賛・協力
主催 : 吉祥寺ウェルカムキャンペーン委員会(吉祥寺活性化協議会・武蔵野商工会議所・武蔵野市商店会連合会)
後援 : 武蔵野市、東京都、経済産業省関東経済産業局、コ・フェスタ 2023
協賛 : 一般財団法人武蔵野市開発公社、株式会社ジェイコム東京 武蔵野・三鷹
協力 : 株式会社ウィットスタジオ、株式会社エイチエムエー、株式会社コアミックス、シンエイ動画株式会社、 株式会社フリッカ、株式会社プロダクション・アイジー、株式会社スタジオよんどしい、太陽企画株式会社 / TECARAT、株式会社ツインエンジン、日本アニメーション株式会社、三鷹の森ジブリ美術館(五十音順)
6.SNS

インタビュアー
井村 哲郎 | Tetsuro Imura
以前編集長をしていた東急沿線のフリーマガジン「SALUS」(毎月25万部発行)で、三谷幸喜、大林宣彦、堤幸彦など30名を超える映画監督に単独インタビュー。
その他、テレビ番組案内誌やビデオ作品などでも俳優や文化人、経営者、一般人などを合わせると数百人にインタビューを行う。
自身も映像プロデューサー、ディレクターであることから視聴者目線に加えて制作者としての視点の切り口での質問を得意とする。



