マイクのアイコンインタビュー

インディーズ映画『テレパス川村』や劇場映画『ディスコーズハイ』の岡本崇監督に作品づくりのこだわりや今後目指していることについてなど、話を伺った

2022年11月30日

GeneTheater Interview #4

映画監督

岡本 崇 | Takashi Okamoto

インディーズ映画『テレパス川村』の制作について

──まず『テレパス川村』について伺います。主要な人物が6人いますが、全員のキャラが立っていますね。俳優さんと役づくりについてどの様な話をされたのでしょうか?

僕は元々、ミュージシャンだったので、ライブハウスで多くのライブを行っていました。ライブハウスの演奏者やお客さんで「こういう人、いるよね」というのはわかっていたので、ある程度、誇張してキャラクターを設定しました。実は撮影まで時間がなかったので、Twitterで役者さんを募集したのです。応募があった方に、「この役はこういう演技をしてほしい」という要望を出して、全ての役を役者さんに演じてもらい、その動画を送ってもらいました。そしてキャラクターに合った役者さんを配役しました。

──『テレパス川村』は“音楽”と“笑い”を掛け合わせた作品ですね。岡本さんは元々ミュージシャンだったので“音楽”は詳しいと思うのですが、“笑い”についてはどういう背景があるのでしょうか?

音楽”は元々、本職だったので、作品の中の音楽も全て作曲しています。
僕は関西で育ったので “笑い”は生活の中に自然と入ってきました。自分の両親がとにかく漫才が好きで、僕が中学生に入るか入らないかの時に家にビデオデッキが来て、そのビデオデッキで親が「勉強しているのか」と思うくらい(笑)、繰り返し漫才を見ているのですね。生活の中に漫才が聞こえてくるの環境だったので、自然と関西のお笑いのテンポ感が身についたのだと思います。

──なるほど。『テレパス川村』は私も声を出して笑ってしまいました。笑わせることってとても難しいと思うのですが、笑いの演出でこだわっていることはどんなことですか?

映画の笑いの演出は難しいんですよ。ライブでやるお笑いは、お客さまの反応がわかるので、それをみてさらに話をかぶせていくことができます。ただ映画の場合はお客さまの反応はわからないので、話をかぶせることができません。
僕は子供の頃、漫画が好きでよく読んでいました。漫画はキャラがすごく立っているんですね。お客様の反応がわからないのだったら、漫画ばりにキャラを立たせて役者に思いっきり演じてもらうのがいいのかなと、思っています。そしてわかる人だけが笑えるというシュールな笑いではなく、誰もが笑えるようなわかりやすい笑いを目指しています。

短編映画紹介

『テレパス川村』(5分00秒)の視聴はこちらをクリック >> 『テレパス川村』

ストーリー

人の心の声が聞こえる「テレパス能力」を持つ売れないバンドマンの川村。ある日、友人のバンドマン・下田に誘われてライブハウスを訪れると、そこにいたのは強い思念を持つ奴ばかり。下田のバンドへの対抗心をむき出しにする共演ミュージシャン、下田の熱狂的信者のファン、ボーカルの下田に不満だらけのバンドメンバー…。

果たしてこのライブ、いったいどうなってしまうのか!?テレパス能力者・川村のロックンロール・サイキック・コメディ!

映画館で上映された『ディスコーズハイ』について

──次に劇場公開もされたインディーズ映画『ディスコーズハイ』についても伺いたいと思います。『ディスコーズハイ』をどのようなきっかけでつくろうとされたのか、教えてください。

ミュージシャン仲間と「40分くらいの中編の映画をつくりたいね。」という話をなんとなくしていました。ただミュージシャンは演技がうまくできないので、主役は役者を使おうという話になりました。ちょうどコロナ禍が始まった2020年2月にオーディションをしました。すると表現ができなくなった舞台やミュージカルの役者など、かなり多くの方から応募がありました。なかでも田中珠里さんと下京慶子さんがとても素晴らしく、「あ、これはもしかしたら、いい作品ができるかもしれない」と思ったんです。そしてしっかりとした長編映画をつくって劇場公開も目指せるかもしれないと思い始めたのです。

ストーリー

音楽事務所ヤードバーズに叔父のコネで入社した瓶子撫子(へいしなでこ)・売れっ子バンドを次々と輩出する同僚の別久(べつく)とは違い彼女の担当するバンド「カサノシタ」はデビュー以来、鳴かず飛ばず。

おまけに極度のあがり症で自身も会社のお荷物扱い。次回作の予算も下りず自らの手でMVを制作、その反応次第でリリースを検討という事態に。まさに崖っぷちという状況にも関わらずメンバーの危機感及びやる気はゼロ。

それでも撫子は別久への対抗心を燃やしなんとか結果を出そうと奮闘するのだが・・・

──はじめから劇場公開を目指したのですか?

せっかく長編映画をつくるのだから、映画館で上映したいな、という軽い気持ちでした。何しろどうしたら映画館で上映できるか、全くわからない状態だったので。映画を完成してから、まずは映画祭に出してみようかということで、いくつかの映画祭に出品しました。最初に神戸インディペンデント映画祭に入選して、その後日本芸術センターからも入選の連絡がありました。そこで自信がついて劇場でも上映ができるかなと思い始めました。

──『ディスコーズハイ』とても面白かったです。 “音楽”と“笑い”に加えて感動もあるかなと思いました。何度もみたくなる作品ですね。

ありがたいことにリピーターの方が多くいらっしゃってくれています。2回3回どころか5回と7回とかみていただいた方もいらっしゃいます。もともと狙いとしては2回みて欲しいというのはありました。そんなに複雑な構成にしているわけではないのですが、田中珠里さん演じる瓶子と下京慶子さん演じる別久の関係をわかった上でもう一度見て欲しいという気持ちはあります。あと僕がキャラクターづくりが好きなので、どのキャラクターにも見せ場をつくっています。誰視点で見るかで『ディスコーズハイ』の見方も随分と違ってくると思います。

──“ぽてさらちゃん。”が演じた儀武村紗栄子のインパクトが強かったですね。

“儀武村”はストーリーを動かすくらい強いキャラ設定にしました。ちなみにこのキャラクターはいい人がいなければ自分がやるしかないな、と本気で思っていました(笑)。ただ自分で演じるにはリスクがあるので、誰かを探さなければと思っていた時に、以前ライブハウスで一緒に演奏したこともある“ぽてさらちゃん。”に声をかけました。彼女は快く応じてくれたのですが、脚本での“儀武村”の設定は男性だったので、“ぽてさらちゃん。”には元男性を演じてもらいました。結果的に当初想定していたよりも強いキャラになりましたね。

──長編は『ディスコーズハイ』が初めてだと思うのですが、長編を作るのは大変でしたか?

ストーリーをつくるのも大変でしたが、それよりも僕が経営するコココロ制作は2人なので、全ての雑務を行わなけれスケジュールの調整や雑務が増えることが大変でした。

映像制作はディスカウントスーパーで購入した1万円のカメラから

──岡本監督のキャリアについて伺います。ミュージシャンだった岡本さんが映画を撮ろうと思ったきっかけはなんだったのですか?

ミュージシャンをしている時にプロモーションビデオいまでいうミュージックビデオをつくろうと思うと当時は何十万から百万超える金額がかかったんです。僕は裏方もやっていたのですが、その時にミュージックビデオを撮影するのをよく見ていました。するとカメラが大きなカメラではなく、プロ用ではない一般の人が使用するビデオカメラで撮影することもよくありました。編集もノートパソコンでしていたので、「これなら自分でもできるかな」と思って、自分のバンドのミュージックビデオを制作しました。当時映像制作の知識がなかったので、ディスカウントスーパーで10,800円のカメラを買って、フリーの編集ソフトを使ってつくり始めました。すると結構好評でミュージシャン仲間から注文が来るようになったのです。そしてミュージックビデオをつくり続けているときに、ふと映画を撮ってみたくなったのです。

初めての映画は19分の作品でした。周りの人から「映画祭に出品してみては」と言われて出品したところ、ある映画祭で入選したんです。この時に「え、自分でも映画つくれているな」と感じました。

インディーズ映画

──インディーズ映画について伺います。インディーズ映画は収益化が約束されていない状況からつくるケースが殆どですが、それでも岡本さんが映画をつくるというモチベーションを教えてください。

僕はとにかく何かをつくることが好きなのです。最初は絵を描き、次に音楽をつくり、という延長線上で映画をつくっています。ただ映画が絵や音楽と違うのは、段違いにお金がかかるということです。つくるときにお金が返ってこないことは承知していますが、映画をつくること自体がとても楽しいですね。

ただ予算は少ないに越したことはないので、節約好きの性格もあいまって「こういうふうにしたら安くできないか」ということを常に考えています。バンド時代から一緒にやっている内田さんも節約することが得意なので、2人で常に予算を抑える方法を考えていました。

──インディーズ映画をつくった後、映画祭への出品や映画館での上映などは常に目指していらっしゃいますか?

今は映画祭を軸にして映画をつくっています。自分の感性を信じているところはあるのですが、映画祭は審査員や観客によって評価されます。映画祭に入選するということは今のスタンダードからは外れていないということがわかるのです。映画祭で入選しないことがいい映画でないということではないのですが、自分の感性が今の時代に合っているかの評価基準としてみています。

あと映画祭に入選すると映画を一緒につくったスタッフがとても喜んでくれます。

──インディーズ映画の未来についてどのようにお考えでしょうか?

インディーズ映画は一般的には低予算でこじんまりしていて、ミニシアターで上映するというイメージかと思いますが、映画は数多くの人に見てもらうことが大切だと思います。今は映画館だけでなく、YouTubeでも動画配信でも見てもらえる手段が多くあります。とにかく一人でも多くの人に見てもらいたいと思っています。

音楽にはフェスがあります。色んなジャンルの人が集まって盛り上がる文化があります。一方でインディーズ映画は音楽フェスのように色々なジャンルの人と一緒になって映画をつくるということはありません。しかしこれからは共同で協力しあいながらやっていくのがいいと思っています。映画祭で一緒に入賞したインディーズ映画監督が他の監督の作品を宣伝するとか。最近はTwitterなどで他の監督の作品を宣伝する人も増えてきているのでいい傾向だと思います。

──話は変わりますが、岡本監督のお気に入りの映画作品は何ですか?

『ローズ』や『スクールオブロック』が好きです。特に『スクールオブロック』の軽くて笑えて感動できるような作品が好きです。自分の作品づくりに影響を受けている面もあると思います。

ミュージシャンはレッド・ツェペリンが好きです!ギターがアグレッシブな人が好きですね。

──今後どのような活動をされる予定ですか?

長編映画を撮りたいですね。持ち出しだけでなく、しっかりした予算でやりたいです。それをどうしたいかということではなく、しっかりとした面白い映画をつくりたいですね。

岡本 崇

Profile

岡本 崇 | Takashi Okamoto

2008年頃からミュージシャンのMV制作を中心に活動開始。2016年頃から映画製作を始める。

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鉛筆のアイコンインタビュー後記

『ディスコーズハイ』を見た時、コメディ映画かなと思って見始めましたが、最後は感動していました。岡本監督と話していると静かな口調にも“人を喜ばせたい”という強い意志を感じました。“音楽”+“笑い”+“感動”という構成は岡本監督ならではものだと感じました。これからの活躍に目が離せません。

インタビュアー

井村 哲郎 | Tetsuro Imura

以前編集長をしていた東急沿線のフリーマガジン「SALUS」(毎月25万部発行)で、三谷幸喜、大林宣彦、堤幸彦など30名を超える映画監督に単独インタビュー。
その他、テレビ番組案内誌やビデオ作品などでも俳優や文化人、経営者、一般人などを合わせると数百人にインタビューを行う。
自身も映像プロデューサー、ディレクターであることから視聴者目線に加えて制作者としての視点の切り口での質問を得意とする。

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